新しいギター

先月ライブで共演した島崎智子さんがぼくのライブを見てひと言、 そのギターもう卒業せえへん? 演奏にギターが追いついてへんのよ。 って、うーんそうなんか自分でもこのギター、決して弾きやすいわけではないし、音はしょぼいし、古いし(70歳くらい)、 いちいち一曲ごとに入念なチューニングが必要だったりで、ほとほと参ってたとこだった。あめあめを解散した7年前、新しい音楽を模索しようと中古で購入したこのギター、何度かのリペアを経て、少しはマシになってきたものの、やはりここが限界なのか。そう思った翌日、久しぶりに渋谷の楽器屋へ。するとそこにはずっと欲しかったけど、高くて買うのを諦めてたギターが新品にも関わらず、なぜか意味不明に低価格で売られていた。これは買えってこと? きっとそうだ。今がタイミング。ぼくは20年振りに新品のアコースティックギターを買った。いつも優柔不断のぼくがほとんど迷うことなく。さっそく新しいギターとスタジオに入った。なんてっこった。まるで音の響きが違う。今までのギターは繊細な音が表現できないが故にジャカジャカ力強く弾かねばならなかった。それに合わせて歌も叫び散らさなければならなかった。 そして弾けば弾くほどチューニングはひどく狂う。それはものすご〜くストレスの溜まる作業だった。だけど新しいギターにはそれがない。小さい音でも「音楽」が表現できる。一曲毎にチューニングも必要ない。もう目から鱗。島崎さんが言っていた言葉の意味が身に沁みてよくわかった。大きな声を出さなくても、力強くギターを弾かなくても、ちゃんと音楽には力があるんだって、ぼくに大切なことを思い出させてくれた。そしてものすごく久しぶりに「ギターを弾くのが楽しい」って感覚を取り戻すことができた。新しいギターと出逢えてよかった。 次のライブがとってもたのしみ。新しい歌もいっぱい作りたい。今は毎日そんな気持ち。


これは卒業することになった古いギター。
いままでありがとう。おつかれさまでした。

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