2年振りの大正浪漫亭ライブ

青森大正浪漫亭での2年振りのライブはきらきらと時々時間が輝いて、流れ星のように一瞬なんだけど、みんなでそれを見守るように見つめて、しずかにああたかく、それぞれがそれぞれの思い出にアクセスしながら、大切なひとときを過ごせたように思います。今回は今年7月に癌で亡くなった俳優の大船滝二さんを偲んで歌いました。誰かを偲んでライブをしたことは今までなかったけれど、ライブ前夜に浮かんできてタイトル未定の新しい歌や自分のお婆ちゃんが亡くなったときのうた「み空」、大船さんが大好きだった友部正人さんの歌など、大船さんに捧げるような気持ちで歌うことができました。大船さんが所属していた劇団『雪の会』は永六輔さんが立ち上げに携わっていたり、三上寛さんが歌ったり、青森という北の果ての土地が育てた独自の文化や言葉が色濃く出ている演劇をしていました。大船さんのお芝居はどちらかというと喜劇的だったけれど、どこか笑いと孤独が同居しているような、哀愁のようなものも感じられて、それがぼくにはとても魅力的でした。初めて大船さんに会った15年前、それはそれはぼくは誰にも心を開けないような孤独な青年で、雪の降りしきる東北をギター1本持って一人旅をしてたのだけれど、あのとき仲良くしてくれたのはたぶんおんなじ孤独を大船さんも内に持っていたからじゃないかと今回大船さんの古い友人、古川さんの話を聞いて直感でわかった気がしました。そしてその瞬間に思わず涙があふれ出てきました。お酒の飲めないぼくをよそにたのしそうにお酒を飲んではフォークソングを歌い、話し、一晩中笑い転げた遠い日々をぼくは今でも宝ものみたいに大事に覚えています。しんしんと降り積もる雪で道路も家もぜんぶ真っ白だった。その日の夜は底なしのようで終わる気がせず、いつまでも楽しかった。いろいろ思い返していくと15年という歳月の長さと想いが交差してうまく言葉にできないけれど、とにかく大船さんにはうれしい想いをいっぱいさせてもらったのです。大切な気持ちはぜんぶ歌に込めて空の彼方へ届いたと信じたい。今回その機会を作ってくれた妻の綾子さんに深く感謝いたします。この機会に青森に歌いに来れて本当によかった。ライブを聴きに来てくださったたくさんの青森の皆さま、共演の皆さま、お手伝いしてくれた皆さま、本当にありがとうございました。これからも青森に歌いに来続けたいと思います。次も元気な姿で会えたら嬉しいです。

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この日のライブ映像を共演の康子さんがアップしてくれました。
2015.10.11青森大正浪漫亭 雨宮弘哲

【SETLIST】
1夕焼け
2アイハブアドリーム
3雨に唄えば
4こわれてしまった一日
5新曲~み空
6歌星
<アンコール>
7大道芸人

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