中川五郎さんの新刊「ぼくが歌う場所 フォーク・ソングを追い求めて50年」を読み進めるうちにあまりに興味深くハマってしまい、思いたって新刊発売記念ライブを見に行ってきました。新刊は五郎さんの個人史でありながら日本フォークの歴史も知ることができる内容で、まだ半分だけしか読んでませんが、主に70年代フォークに影響を受けてきたぼくにとって、自分が生まれる前の60年代後半のフォークムーブメントについてとても興味深く読ませて頂きました(新宿騒乱に対する周囲の見解やURCの成り立ちなど)。今日のライブも本の内容に沿って進んでいき、五郎さんが訳詞を手がけたピート・シーガー、ルー・リード、レナード・コーエンなどの歌を聴くことができました。70年代に入ると第一次フォークブームは下火となり、五郎さんも反戦歌から遠ざかり、次なるテーマを模索するようになったそうです。そんな過渡期に書かれた「25年目のおっぱい」を聴いて不意に涙が。反戦歌から日常的なオリジナルの歌を探り出すようになるまでの迷いや行きどころのなさに共感できたのは、時代は違えど自分も後追いで似たような体験を個人的にしていたからでした。ライブ後にお話させて頂き、いろんな歌があっていいんですよと五郎さんはおっしゃっていた。ライブでは活動50年の中のさまざまな歌を聴かせていただきました。自分にも今は歌わなくなってしまった20年程前に作った曲がいくつもあるのだけど、これからライブ活動も再開できそうだし、やりたい曲は分け隔てなくやってみよう。そんなことを後押ししてくれるような五郎さんのライブでした。