NewAlbum『まぼろしがすむ』コメント③よしだよしこさん

シンガーソングライターとして大先輩であり、アイリッシュトラッドも積極的に取り入れて活動なさっている「よしだよしこ」さんより雨宮弘哲トリオnew album『まぼろしがすむ』へコメントを寄せて頂きました。大変光栄です。長いキャリアをお持ちでありながら、オリジナル曲もトラッドも同じようにご自身のコアを大切に表現し続けていらっしゃるよしこさん。ぼくもどれだけキャリアを積んだとしても、よしこさんのように自分の言葉で歌い続けられるアーティストでありたいと思っています。


「まぼろしがすむ」を聴きながら

葡萄の粒を数えながら食べる。愛する人を遠ざけたら罰が当たるんじゃないかと。なんにも手にせず故郷に帰ったら風に笑われるんじゃないかと。人生はいつ終わる?君はいついなくなるんだろう?ここにない不安を集めて嘆いている。そう唄う雨宮弘哲さんはちょっと頼りない、でもきっと頑固者でもあるだろう。夜中にワサビの効いたアボカド丼作ってくれる人の隣で笑っていたい、そして君と夜明けに地図を拡げ、羽ばたく鳥に焦がれ、想いを歌にして歌の星になる雨宮さんは少しずつ頬がばら色に温まっていくようです。風止まぬ荒れ野、波しぶき打ちつける断崖絶壁、そして虹と妖精棲むアイルランドの旧い旋律を奏でる雨宮さんは絵本の中の王子の凛々しさで進んでいきます。頼りがいのある波子さんと宮坂さんのお伴とともに。 

雨宮さん、私も一人でいると、葡萄を数えながら食べてしまいます。 

よしだよしこ 

よしだよしこ プロフィール

東京 大田区に生まれる
1971年 フォークグループ “ピピ&コット”のメンバーとしてELECレコードよりデビュー。
1975年 唄の市をはじめ、吉田拓郎、泉谷しげる、古井戸、海援隊等のアーティストと共に活動。 “ピピ & コット”解散後、ソロシンガーとなる。  
シングル版『歌のある限り/路地裏の陽気な花』を皮切りに『風』、『二人旅』等をリリース。 また、佐藤公彦(ケメ)のサポートギタリストもつとめる。
1976年 単身渡米。 アメリカ各地を放浪。 帰国後、音楽活動を一斉中止。
2003年
から現在 シンガーソングライターとしてライヴ活動を25年の空白を経て再び始める。
はじめてのソロアルバム「ここから」を制作して日本各地のライブハウスで唄いだす。
「ア・シ・オ・ト」[地球に似た惑星にいるあなたに]
「She said NO!」「忘れないということ」「笑って唄って」
DVD「虹の根っこ」自伝「Here Now」
二年に一度のアルバムDVD制作をしながらギターとダルシマーをかかえて全国津々浦々、年間100回以上のステージに立っている。
アメリカで1950年代に起きた公民権運動のさなかにバスボイコット運動のきっかけをつくった女性ローザ・パークスについて唄った「She said NO!」
2011年に起きた東日本大震災を体験した直後につくった「忘れないということ」
詩人の石川逸子氏の詩に作曲した「地球に似た惑星にいるあなたに」等の大作の数々。 社会に向かいながらも内奥的な歌詞のオリジナル曲の数々とともに、ライフワークのごとく続ける外国曲を日 本語詞でうたう作品も多数。
ギターの音色、ダルシマーを弾く佇まい、そして何よりも声の響きを大切に常に新鮮で誠実なステージに立ち続けている。