【NewAlbum『まぼろしがすむ』コメント④夏秋文尚さん】

ムーンライダーズでドラマーとしても活躍なさっている夏秋文尚さんからコメントをいただきました。
夏秋さんには前作『COMPLIANCE』(2019)でマスタリングを担当していただいたのですが、
今作『まぼろしがすむ』では録音、ミックス、マスタリングと0から完成まで全て担当していただきました。
レコーディングといっても今回はライブレコーディングでありながら、その場でダビングをしたり、配信をしたり、
かなりイレギュラーな形で制作に踏み切らせていただいたので、夏秋さんには大きな負担をおかけしたことと思います、、、。
そのおかげと言ってはなんですが、どこにもない唯一無二の作品が出来上がったと思っています。
昨年からのコロナ禍”ほぼライブが出来ない状況”になっていなかったら、
今回のような作品を制作するアイディアはなかったと思います。
そして夏秋さんの丁寧な音作りなしにはこのような作品に仕上がらなかっただろうなとも。

少し話は逸れますが、今回のレコーディングにあたり、
直前になってヒントを得たのがムーンライダーズの公開レコーディングの動画でした。
それはライブレコーディングした音にその場でお客さんのコーラスをダビングするというシーン。

このなごやかながら緊張感のある雰囲気がよくて、これを自分たちなりに再現してみたいと思いました。
もちろん自分たちとはキャパシティも違うのですが、お客さんと共に作るレコーディングはあたたかいものがあるなぁと感銘を受けました。
早速、アイディアを練っていったのですが、コロナ禍とあって、残念ながらお客さんが声を出す行為は最終的に断念しました。
その代わり、今回レコーディングされた曲の中で唯一のダンスチューン「John Ryan’s Polka~The Rakes of Mallow」で、
お客さんには手拍子で参加して戴き、それを同時録音することにしました。
アルバムとしてはMCや拍手は全てカットしているのですが、この曲だけは唯一お客さんが参加している臨場感があります。

その他、ライブ進行中に笛やピアノ、ブズーキ、吹き忘れたハーモニカのダビングまでやって戴きました。
おかげでスタジオ盤のようなレコーディングを、ライブ感を損なわずに3時間弱でやり遂げることが出来ました。
アルバムを聴いてそんな経過を全く感じさせないのは、そののちにも時間をかけてミックス作業をして戴いた夏秋さんの丁寧な仕事のおかげです。

ライブは制限され、配信が主流になっていく中、何か形に残るものを作りたいという思いは、
夏秋さんの音作りのおかげでかなり具現化でき、作品として、盤として、発売できることが何より嬉しいです。

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公開レコーディングと言うのは
普段のライヴとは比べ物にならない
物凄い緊張感が伴うのですが、
大地の様にどっしり支える宮坂君
山の様にやさしく見守る波子さん
その間を自由に飛びまわる雨宮君は
見事にやり遂げました。
まぼろし、で終わらない様、
ミックスで緊張感を取り去り
更に磨きをかけ、
素晴らしいCDが出来ました。
しかしダビング中のあの雰囲気
手に汗握った、、、、。

夏秋文尚(moonriders)