七夕の夜

七夕の夜に一冊の詩集を読み終えました。何か大きな力に惹きつけられるように入り込んで読み進め、心の結晶のような素直な言葉に途中で何度も泣きそうになりました。山梨在住の高部久理子さんの詩集『たゆたゆ』。

栞の挟んでいたところを開くとちょうど天の川というフレーズが目にとまり、七夕の日に七夕という詩を読むことが出来ました。久理子さんの亡き親友に捧げられたという詩集。あとがきの最後は奇遇にも7月7日と締めくくられていました。

久理子さんを知ったのは13年半前、甲府のとあるライブ会場で手作りの詩集『K』をご本人からいただいたのがきっかけでした。「くじら」という詩で得体のしれない大きな愛に包まれるような感覚が走ったのを今でもよく覚えてます。
先月、横浜でのとあるライブで久理子さんと偶然お会いすることができ、そのときにシンガーソングライターのよしだよしこさんが久理子さんの詩に曲を付けて歌ってくれているとお聞きしました。その曲は「卵焼き」というタイトルでよしこさんの新しいアルバムで聴くことができました。この「卵焼き」の詩に「くじら」に続いてふたたび大きな愛に満たされるような二回目の衝撃を受けました。

詩ってやっぱりいいな。新しい詩集『たゆたゆ』からじわじわと反芻する言葉は自分にとって宝物になっていました。一冊の愛と熱量のこもった詩集を読み終え、自分も自分の詩を大切にしていこうと心から思いました。