8合目の人

人生の山登り。33年間、この山と信じて登ってきた山に、最初は仲間がたくさんいたけど、途中で別の道を選んだり、遅れていったり、ついには周りから誰も人がいなくなって、それでも自分が向かいたい方向にひとり黙々と信じて登り続けていったら、8合目あたりでおんなじ目的で山登りする同士に出逢ったみたいな感覚。そのとき言葉はなく、何も話さなくてもその姿を見ただけでわかりあえるみたいな、不思議な感覚になった。お互いよくこの歳までこの山を登ってきたわなって、この山はここまでぜったい楽な道程じゃなかったろうなとか、エレベーターもエスカレーターもないこの崖っぷちをよく歩いてきたなぁとか。そんなことがお互い無意識に通じ合えたりする。初対面なのに抱きしめたくなった。ぼくは実際、山登りなんてしたことないけど、これは人生というか、自分の音楽の山登りの話。