帆立と弟の嫁さん

毎年正月には実家にて青森から大量に送られてくる活き帆立とサザエを捌き、調理するのが恒例になってきている。初めは苦戦を強いられた帆立捌きも、年々手慣れて上手くなってきている。弟の嫁さんは伊東の出身で大量の伊勢海老も同時期に届くし、もうひとりの弟の嫁さんからは山形の美味しいお米や酒が届く。はっきり言ってこんな贅沢は一年に一回だけ。普段は木でも囓ってるような食生活なので本当にありがたい。昨年、実家で20年近く飼っていた猫のタラが亡くなり、これからは寂しくなるなと思いきや、まだ2歳の姪っ子が少しずつ喋れるようになり、笑ったりはしゃいだり、一家団欒の場をよりなごませるようになっていた。弟の嫁さんとは基本、話をしない。何を話していいかわからないし、向こうもぼくの存在に困ってるっぽい。”弟の嫁さん”って近いようで血のつながりもなく、ましてや趣味も価値観も全然違うし、身近なだけにかなり脅威。ぼくはただ飲めない酒を煽りながら、その場に存在してるのが精一杯で、それが一番心地いいのかもしれないなと思う。不器用ながらも捌いて調理した帆立やサザエをみんなに振る舞うのが唯一のコミュニケーションになっている。

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