京都から東京に戻る。自宅にいるとじっとパソコンの画面を眺めてることが多い。バーチャルで人間味に欠ける時間の使い方をしてたんだなぁと旅をすると気づかされる。京都では一度もパソコンもTVも見なかったし、そんな気分にもなれなかった。バスも電車も一度も乗らなかった。自分の足で歩いて、自分の目で眺めた世界。それはバーチャルなものよりリアルにこころに引っかかってくる。
5/16京都拾得 5/17汚点紫 5/18わからん屋
もともとは33歳の誕生日を三十三間堂で過ごすという理由だけで京都に行くことにしたのだけれど、幸運なことに誕生日を挟んで3日間、京都でライブを組むことができた。誕生日だった17日は満月で、あちこちで満月祭みたいなものが行われていた。その日ぼくは三十三間堂を堪能し、伏見稲荷にも行った。千本鳥居をくぐって稲荷山を登りはじめた頃にひどい大雨に降られたけれど、古びた茶屋で時間を潰し、4時間かけて鳥居の連なる山を巡った。夜には晴れて、奇麗な満月が昇った。5月の満月は1年でいちばんパワーがあるんだとか。そんな夜空の下、京都の歌い手さんの歌をたくさん聴き、自分も自分の歌を訥々と歌った。
いつまでも眺めてた三十三間堂の千手観音、雨に打たれて登った稲荷山、朝まで飲んだ立ち飲み屋、鴨川に寝そべって見上げた空、、
東京に戻ってみると全部がちゃんと思い出という過去になっていて、寂しくもなったのだけれど、京都で出会った人たちのしーあーわせそうな顔を思い出すと、自分もちょっぴりしーあーわせな気持ちになるのでした。それは小さな旅のかけら。