柿の木と故郷

故郷の松里に帰省。松里は柿の名産地で主に枯露柿で知られる。久しぶりに帰ったらあまりの柿の木の数に驚かされた。子供の頃はいたって普通の光景。どこの家にも干し柿のカーテンがあった。高い山々に囲まれ、でかでかと富士が見え、恵林寺の鐘が鳴り、深沢七郎の小説で知られる笛吹川が流れている。山あいの秘境と云ってもいいくらいの渋い土地に自分は育ったんだなと意識をあらたにしたところ。元々は松里村という小さな村で、今は合併され松里の地名は残っていない。ちなみに私は松里小学校、松里中学校の出身。筋金入りの松里人。柿を見るとやはり故郷を思い出す。松里出身で干し柿を作ったことのない人間はおそらく1人もいない。小学校に入ると全校集会があり全校児童でいっせいに柿の皮むきをし硫黄燻蒸までする。それは夏になったらプールに入るのと同じくらいあたりまえのことだった。久し振りに柿の木を見つめてたらそんな回想に至った。住むには不便も多いけど、今となってはすべてが愛おしく、生まれ故郷はやっぱり落ち着く場所であった。

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